データ収集のピットフォール
- 今後のデータ収集の参考として、クエリ制度や不定期チェックにおいて多く見られた入力間違いをまとめておく。より詳細なルールについてはデータ辞書を参照のこと。
- どの主病名コードを選択すれば良いかわかりにくいものや問い合わせが多くあったものを、この章の最後に表に記した。
- 入室形式
- 中心静脈カテーテル挿入やカルディオバージョンなどのための ICU 入室で、24 時間以内に退室する場合は“ICU での手技”を選択する。手技の目的で入室したが、その後治療が必要となり 24 時間以上滞在することになった場合には“緊急”を選択する。
- 予定手術の術前コントロール目的などであらかじめ入室日を決めて ICU に入室する場合は“予定”を選択する。
- 入室経路
- 透視室/心カテ室/CT・MRI/内視鏡室などから ICU に入室した場合は、それ以前にいた場所(“病棟”や“救急外来”など)を選択する。これらの場所で全身麻酔下に行われた手術が行われた場合には“手術室”を選択する。
- ここでいう全身麻酔とは「該当手技のために人工呼吸器を使用した」とする。麻酔器を使用したかどうかは問わない。
- 脳血管や動脈瘤の血管内治療は同様の手技が血管撮影室で行われることがあるため、原則的に手術として扱う。心カテ室における経皮的冠動脈形成術などについては非手術として扱う。
- 入室区分が予定手術の場合、入室経路はほとんどの症例で手術室になる。
- 緊急コール
- コードブルーおよび RRT/MET は、各施設での定義に従う形で区別する。
- 心停止蘇生後
- 心停止に対し蘇生処置を行った場合に選択する。
- 病名テキスト
- 端的に、かつ何故 ICU 入室となったかがわかるように心がける。できる限り、呼吸不全などのような症候名のみではなく原因疾患を記載する。
- 非手術例では主病名コードの“心停止”は最優先されるため、例えば病棟で肺塞栓により心停止した場合、主病名欄に“心停止蘇生後、肺塞栓”などと記載すると分かりやすい。
- 慢性疾患がある場合には、そのことを病名テキストに記しておくと、あとで見たときに分かりやすい。
- ICU 在室中の治療
- 気管切開は手技が今回の ICU 在室中に行われた場合のみ“Yes”を選択し、単に気管切開チューブが留置されている状態で入室した場合(例:喉頭癌に対する手術中に気管切開された後に ICU 入室)は“No”を選択する。
- ICU 入室前に人工呼吸が行われていた場合(術後など)は、開始時間は ICU 入室時になる。同様に、人工呼吸のまま ICU 退室した場合は、終了時間は ICU 退室時になる。特に患者情報システムからの自動取り込みを行うと、時間が不正確になることが少なくないので注意が必要である。
- ICU 退室日時
- ICU から死亡退室した場合退室時間は死亡時間でありご遺体が ICU から出た時間ではない。