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09ICU の利用(滞在日数)
  • 医療の質を表す別の指標として効率性がある。
  • ICU の効率的な利用も医療の質の一つといえる。
  • ANZICS のレポートでは、予測 ICU 滞在日数を用い標準化 ICU 滞在日数比を算出し、SMR と合わせた分布を調べている。
  • JIPAD では、予測 ICU 滞在日数を算出するモデルを構築していないため、ICU 滞在日数の中央値と SMR を合わせた分布を調べた。

ICU の利用(滞在日数)成人全例

ICU の利用(滞在日数)成人重症例

  • 標準化死亡比と比較すると、ICU 滞在日数の中央値はばらつきが大きかった。
  • Case mix の調整をしないと効率性について言及できないが、施設によって ICU の利用が大きく異なる可能性がある。
08重症度スコアの評価
  • 再入室例および ICU での手技目的は除外。
  • APACHE III, II, SAPS II は成人症例の病院死亡率、PIM2 は小児症例の ICU 死亡率で評価。ただし小児の ICU 死亡率が低いため、病院死亡率でも評価を行った。
  • サブ解析として、成人重症例のみを対象とした評価も行った。
  • 小児は死亡率が低く、かつ PIM2 がすでに予測死亡率のため、度数分布は作成していない。
  成人全例 成人重症 小児
症例数, n 24,615 14,386 1,132
ICU死亡, n (%) 891 (3.6) 891 (6.2) 25 (2.2)
病院死亡,n (%) 1,886 (7.7) 1,810 (12.6) 36 (3.2)
APACHE IIIスコア 50 [38,66] 59 [45,78] -
予測死亡率,% 6.0 [3.0,17.0] 11.0 [4.0,30.0] -
SMR 0.498 0.561 -
APACHE IIスコア 13 [10,17] 15 [12,21] -
予測死亡率,% 10.9 [6.0,21.7] 16.7 [8.5,34.8] -
SMR 0.410 0.491 -
SAPS IIスコア 26 [18,37] 33 [25,45] -
予測死亡率,% 7.2 [2.9,19.6] 14.0 [6.5,34.8] -
SMR 0.452 0.496 -
PIM2予測死亡率,% - - 0.8 [0.2,2.1]
SMR - - 0.666
(病院死亡のSMR) - - 0.959
*中央値 [25th, 75th]
SMR: Standardized mortality ratio(標準化死亡比).
  • 全てのスコアにおいて、標準化死亡比は低値を示しており、死亡予測を過大評価していることが分かる。ただしPIM2 は成人のスコアに比べ1 に近い。これらは昨年と同様の結果であった。
  • 成人の3 つのスコアの中では、APACHE III, SAPS II, APACHE II の順に1 に近くなっている。これはそれぞれのスコアが発表された時期と同じ順番である(APACHE III-j:2001 年、SAPS II:1993 年、APACHE II:1985 年)。
  • APACHE II, III, SAPSII の分布は、いずれも軽度の正の歪みをもつなだらかな分布をしていた。各スコアの最頻値は昨年と同様であった。
APACHE III スコアの分布
APACHE II スコアの分布
SAPS II スコアの分布
成人重症度スコアの ROC 曲線:成人全例
成人重症度スコアの ROC 曲線:成人重症例
成人重症度スコア別死亡予測の ROC 曲線下面積
  成人全例(95% CI) 成人重症(95% CI)
APACHE III-j 0.914 (0.907 - 0.921) 0.888 (0.879 - 0.896)
APACHE II 0.890 (0.882 - 0.898) 0.856 (0.847 - 0.866)
SAPS II 0.896 (0.888 - 0.903) 0.859 (0.850 - 0.869)
CI: confidence interval
PIM2 の ROC 曲線(ICU 死亡、病院死亡)
PIM2 の ROC 曲線下面積
  小児(95% CI)
ICU死亡 0.919 (0.869 - 0.969)
病院死亡 0.857 (0.781 - 0.934)
CI: confidence interval
  • 標準化死亡比と同様、ROC 曲線下面積もAPACHE III, SAPS II, APACHE II の順に高値であった。
  • これらは昨年と同様の結果であった。
06Australian and New Zealand
Intensive Care Society (ANZICS)との比較
  • ANZICS の最新のレポートである2016-17 年のものを使用した。
    https://www.anzics.com.au/wp-content/uploads/2018/08/ANZICSCORE- APD-Activity-Report-2016-17.pdf
  • 成人では、本邦の方が予定入室は多かった。
  • 今年度もAPACHE III-j による標準化死亡比は1 を大きく下回った。ANZICSはこれを理由にAustralian and New Zealand Risk of Death (ANZROD)を採用するようになっており、本邦でも独自の予測死亡率の算出が望まれる。

成人症例の背景と予後

  ANZICS JIPAD
症例数, n 162,532 25,797
年齢*+ years 65 [51+75] 70 [60+78]
男性+% 56.9 61.6
予定術後の予定入室+% 40.5 59.0
入室後24時間以内の人工呼吸+% 32.0 32.2
ICU在室日数* 1.7 [0.9+3.2] 1.0 [0.8+2.9]
時間外退出(18時〜6時)+% 13.8 3.8
再入室+% 4.1 4.5
入室経路, %    
病棟 15.3 11.5
手術室 51.4 70.3
救急外来 27.1 17.3
転院直入 6.1 0.9
ICU死亡率+% 5.3 3.9
退院時死亡率+% 8.3 8.4
APACHE IIIスコア* 49 [35+65] 51 [38+67]
APACHE III-j 院内予測死亡率*+% - 7.0 [3.0+18.0]
APACHE III-j 平均予測死亡率+% - 16.5
APACHE III-j SMR - 0.51
ANZROD予測死亡率*+% 1.50 [0.44+6.12] -
ANZROD平均予測死亡率+% 7.5 -
ANZROD SMR 1.1 -

*中央値 [25th, 75th]
SMR: Standardized mortality ratio(標準化死亡比).

各国の成人症例の疾患頻度トップ 5

オーストラリア
  主病名コード   主病名 %
1 1207 手術後 冠動脈バイパス 5.8
2 1902 手術後 整形外科手術 5.2
3 1405 手術後 消化器腫瘍 3.9
4 307 非手術 その他消化器疾患 3.6
5 1504 手術後 椎弓/脊髄手術 3.6
ニュージーランド
  主病名コード   主病名 %
1 1207 手術後 冠動脈バイパス 8.7
2 1206 手術後 心臓弁手術 5.8
3 102 非手術 心停止 3.7
4 501 非手術 敗血症 3.6
5 703 非手術 薬物中毒 3.4
JIPAD
  主病名コード   主病名 %
1 1405 手術後 消化器腫瘍 15.2
2 1302 手術後 肺/縦隔腫瘍 6.9
3 1206 手術後 心臓弁手術 4.8
4 1506 手術後 その他の神経系疾患 3.8
5 1701 手術後 泌尿器腫瘍 3.1

小児症例の背景と予後

  ANZICS JIPAD
症例数, n 11,024 1,250
年齢層    
1歳未満,% 37.1 29.8
1歳以上5歳未満,% 28.1 31.0
5歳以上16歳未満,% 34.8 39.2
男児,% 57.1 53.1
予定術後の予定入室,% 28.5 63.2
ICU在室中の人工呼吸(NPPVを含む),% 50.6 55.0
ICU在室日数*† 1.6 1.8 [0.8,5.0]
時間外退出(18時〜6時),% 11.4 2.6
再入室,% 7.3 9.1
入室経路, %    
病棟 17.8 13.8
手術室 36.7 71.5
救急外来 24.2 11.0
転院直入 20.8 3.6
ICU死亡率,% 2.5 2.1
退院時死亡率,% 3.8 3.5

*中央値 [25th, 75th]
†ANZPICR では中央値のみを提供.
NPPV: noninvasive positive pressure ventilation, SMR: Standardized mortality ratio(標準化死亡比).

各国の小児症例の診断カテゴリー(疾患群)頻度トップ 5

オーストラリア・ニュージーランド
  主病名 %
1 呼吸器系 31.2
2 手術後(心臓血管外科術後を除く) 22.9
3 循環器系(心臓血管外科術後を含む) 19.3
4 その他 12.1
5 神経系 7.7

診断カテゴリーに関しては、JIPAD のデータは、Australian and New Zealand Paediatric Intensive Care Registry (ANZPICR)を参照し、主病名コードを診断カテゴリーに分類した。

JIPAD

  主病名 %
1 手術後(心臓血管外科術後を除く) 45.4
2 循環器系(心臓血管外科術後を含む) 32.2
3 呼吸器系 8.4
4 神経系 7.4
5 その他 2.6

各国の小児症例の疾患頻度トップ 5(緊急入室)

オーストラリア・ニュージーランド
    主病名 %
1 非術後 細気管支炎 16.7
2 非術後 肺炎もしくは肺臓炎 7.5
3 非術後 気管支喘息 6.3
4 非術後 痙攣 6.0
5 非術後 糖尿病性ケトアシドーシス 3.5

JIPAD

    主病名 %
1 非手術 てんかん(痙攣) 11.5
2 非手術 その他の呼吸器疾患 7.2
3 手術後 その他の心血管疾患 5.3
4 非手術 その他の心疾患 5.0
5 非手術 細菌性肺炎 4.6

各国の小児症例の疾患頻度トップ 5(予定入室)

オーストラリア・ニュージーランド
    主病名 %
1 手術後 脊椎固定術 5.4
2 手術後 アデノイド切除術±扁桃摘出 5.3
3 手術後 心室中隔欠損症閉鎖術 3.4
4 手術後 開頭術 3.3
5 手術後 心房中隔欠損症閉鎖術 3.3

JIPAD

    主病名 %
1 手術後 その他の心血管疾患 36.8
2 手術後 その他の呼吸器疾患 14.5
3 手術後 その他の神経系疾患 10.3
4 手術後 その他の消化器疾患 7.7
5 手術後 椎弓/脊髄手術 7.5

JIPAD の小児症例は、成人と同様にAdult Patient Database (APD)を用いているため、ANZPICR とは病名が異なる。例えば先天性心疾患は、ANZPICR では細分化しているため病名頻度の上位に来ないが、JIPAD ではすべて“その他の心血管疾患”に分類されるため1 位になっている。

ANZPICR の詳細についてはホームページを参照されたい。
URL:https://www.anzics.com.au/australian-and-new-zealand-paediatricintensive-care-registry-anzpicr/

07参加施設に対するベンチマーク情報の提供
  • 年次レポートのデータ解析の対象となった施設には、全体のデータと各施設のデータを比較したベンチマーク情報を提供する。

レポートの内容

  • 患者背景①:基本情報
  • 患者背景②:入室区分、形式、経路
  • 患者背景③:疾患群、重症度スコア
  • 頻度の高い疾患トップ 10
  • ICU での治療内容
  • ICU 退室時および病院退院時転帰
  • 成人重症の Funnel plot:横軸に症例数、縦軸に重症度スコアによる SMR をプロット。
Funnel plot(成人重症)

SMR: standardized mortality ratio (標準化死亡比), Theta: 平均標準化死亡比

参考Funnel plot(小児症例でPIM2 によりリスク調整)

SMR: standardized mortality ratio (標準化死亡比), Theta: 平均標準化死亡比

・ PIM2 のFunnel plot では、過分散(overdispersion)が生じており、デフォルトのoverdispersion parameter で管理限界線を補正しているが、症例数の少ない部分で不安定で異常な管理限界線となっている。
参照文献:Spiegelhalter DJ. Stat Med. 2005;24:1185-1202.

05ICU 退室時および病院退院時転帰
  • ICU 死亡率は3.8%、病院死亡率は8.2%だった。
  • 成人重症に比べ小児のICU および病院死亡率は半分およびそれ以下であった。
  • 成人重症では他院への転院が約四分の一で認められた。
  • “MV のまま病棟“とは人工呼吸器を装着しまま一般病棟に退室した頻度であり、「ICU 入室中に人工呼吸器を使用した患者のうち,人工呼吸器を装着したまま一般病棟に退室した患者」と定義した。
  全症例 成人重症 モニタリング 小児
症例数, n 27,047 15,357 10,440 1,250
ICU退室時転帰, n (%)        
病棟 22,237 (82.2) 11,221 (73.1) 9,943 (95.2) 1,073 (86.0)
CCU 55 (0.2) 50 (0.3) 5 (0.0) 0 (0.0)
HCU 3,165 (11.7) 2,687 (17.5) 414 (4.0) 64 (5.1)
NICU 22 (0.1) 0 (0.0) 0 (0.0) 22 (1.8)
PICU 29 (0.1) 0 (0.0) 0 (0.0) 29 (2.3)
他のICU 309 (1.1) 233 (1.5) 71 (0.7) 5 (0.4)
退院 79 (0.3) 68 (0.4) 4 (0.0) 7 (0.6)
転院 119 (0.4) 95 (0.6) 3 (0.0) 21 (1.7)
死亡 1,027 (3.8) 1,001 (6.5) 0 (0.0) 26 (2.1)
ICU在室日数* 1.0 [0.8,2.9] 2.5 [1.3,4.9] 0.8 [0.7,0.9] 1.8 [0.8,5.0]
MVのまま病棟, n (%) 808 (8.7) 648 (8.3) 56 (7.3) 104 (15.2)
退院時転帰, n (%)        
生存 20,223 (74.8) 9,702 (63.2) 9,415 (90.2) 1,106 (88.5)
転院 4,616 (17.1) 3,588 (23.4) 928 (8.9) 100 (8.0)
死亡 2,208 (8.2) 2,067 (13.5) 97 (0.9) 44 (3.5)
在院日数* 21 [12,39] 25 [15,46] 16 [11,29] 20 [12,56]

*中央値 [25th, 75th]
CCU: coronary care unit, HCU: high care unit, PICU: pediatric intensive care unit, NICU: neonatal intensive care unit, MV: mechanical ventilation.

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