JIPADとは | JIPAD事業のご紹介 | JIPAD | 日本ICU患者データベース | 日本集中治療医学会の診療レジストリ

Select your language

JIPADは、日本集中治療医学会の運営する診療データベースです。

日本集中治療医学会は、集中治療を専門とする日本全国の医師・医療者の自発的な集まりであり、研究、教育のみならず、日本における集中治療の安全性と質の向上を目指して活動しています。
JIPAD (日本 ICU 患者データベース、Japanese Intensive care PAtient Database)事業は、集中治療室に入室した患者の疾病や重症度、入室の経路、集中治療室における治療内容、そしてその転帰といった医療情報を収集し、各施設間での比較を行うことによって、医療の質の向上および集中治療医学の発展をめざすことを目的に、日本集中治療医学会 ICU 機能評価委員会が中心となって2014年に開始されました。


JIPADにおける参加施設・準じる施設は下記URLをご参照ください。
https://www.jsicm.org/research/jipadjoin/

日本の集中治療についての信頼できる精緻なデータ

JIPADに集積されているデータは、患者の診療に日々携わっている臨床家がその専門性に基づいて収集・提出しており、その内容は、診断と入室経路からバイタルサイン、治療内容、合併症、退院時転帰にまでおよんでいます。これらは専門医師により構成される委員会で、最新の医学的知見を反映して定期的に更新されるコードに基づき、客観的に解析可能なかたちで収集されます。規模のみならず信頼性や精緻さの点で、日本の集中治療についてこれほど信頼できるデータは他にありません。

数値から見る診療内容

人工呼吸使用率 36.4%
ICU在室日数 1.0 (0.8, 2.8)
人工呼吸器のまま病棟退室 14.3%
ICU死亡率 3.6%
退院時死亡率 7.6%
ICU在室日数は中央値と四分位。
「人工呼吸器のまま病棟退室」は人工呼吸器使用症例における割合。

今も発展を続けています

2017年には、9施設のデータからなる2015年度の年次レポートを初めて発行しました。また、厚生労働省の臨床効果データベース整備事業に採択され、ICU機能評価委員会の下部組織としてJIPAD事業ワーキンググループが発足し、JIPADのシステム・組織の改善サイクルが加速しました。その後も毎年年次レポートを発行し、2018年には解析項目も追加されました。2019年5月には累計症例数が100,000例となり、2022年9月には300,000例を突破しました。

現行の新バージョン(JIPAD3.0)では、2018年4月から特定集中治療管理料の算定に必須となった重症度スコア(SOFAスコアやpSOFAスコア)や、日本集中治療医学会専門医認定および学会報告に必要なデータの算出を支援する機能を備えました。

重症度スコアAPACHE IIIの分布

客観的なデータにより臨床現場を支援します

JIPAD参加施設には毎年、個別化されたフィードバック報告書が提供されます。このフィードバック報告書の内容の例としては、各施設の症例集団の個別リスクと実測死亡率から求められる標準化死亡比を、施設あたり症例数との関係において図示する漏斗図(funnel plot)があります。このような客観的なデータにより、万一施設の診療内容に問題が生じた場合に発見を促したり、各施設の診療プロセスやアウトカムを、他の参加施設との比較の観点から見直し、診療体制や内容の改善につなげることが可能になります。

漏斗図(Funnel plot)の例

日本の医療環境に即した死亡予測モデル

現在まで広く利用されていたAPACHEなどの死亡予測モデルは、死亡率を過大に評価してしまう問題があり、オーストラリア・ニュージーランド(ANZICS)や英国 (ICNARC)では、独自の死亡予測モデルが用いられるようになっています。JIPADでも、日本の医療環境に即したモデルの構築が急務であると考え、JIPADワーキンググループで日本版Risk of Deathモデル(Japan Risk of Death: JROD)の開発および検証を行い、2020年度JIPAD年次レポートよりJRODから算出される予測死亡率の提供を始めました。今後JIPADでは、JRODをメインのリスクモデルとして質指標の評価を行っていく予定です。JRODの詳細は以下文献をご参照下さい。
https://jintensivecare.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40560-021-00533-z

臨床現場のワークフローを支援します

臨床現場の協力のもとに成り立つJIPADでは、データ入力の負担軽減と診療ワークフローの支援を重要視しています。集中治療部門の若手教育や、学会発表・研究に役立つ症例台帳としての活用の推進、電子カルテや部門システム、他のデータベースとの二重入力の削減、事業参加の技術的な障壁や手間の削減といった課題に、積極的に取り組んでいます。

研究目的のデータ活用を推進します

2020年2月から、参加施設がJIPAD収集データを研究等に活用できようになりました。今後は、JIPADを共通基盤として効率良く臨床研究を遂行できる仕組み作りをさらに進めます。

臨床現場と患者・市民の皆様の理解と協力が不可欠です。

JIPADは、高い専門性と職業意識に基づいて正確なデータを提出する医師や集中治療室スタッフの努力により成長してきました。新規参加はもちろん、電子カルテ接続、JIPADを用いた臨床研究や部門カンファレンス、症例台帳構築についてご相談いただければ、事務局は全力でお手伝いさせていただきます。
最後になりましたが、JIPADの発展には、患者・市民の皆様の理解と協力が不可欠です。JIPADは、患者様のプライバシーを適切に保護しながら、データの集積を通じて、医学の進歩や、各施設における医療の質の担保、日本の医療システムの向上に寄与していきます。

このウェブサイトは、利用者への利便性向上を目的としてCookieを使用しています。
サイト利用を継続することにより、Cookieの使用に同意するものとします。詳細はプライバシーポリシーをご覧ください。
閉じる